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ミラトレで学ぶ「長く働く力」|発達障害グレーゾーンの職場定着に効く4つのスキル

ミラトレで学ぶ「長く働く力」|発達障害グレーゾーンの職場定着に効く4つのスキル

この記事のポイント

  • 発達障害を持つ大人が「続かない」のは気合の問題ではなく、「長く働く力」の4軸が未整備なことが多い
  • 4軸とは「疲労管理」「自己理解の言語化」「配慮申告」「トラブル対処」
  • ミラトレはこの4軸をカリキュラム化している数少ない就労移行支援
  • ただし、4軸は就労移行支援を使わなくても独学・カウンセリング・書籍である程度は学べる
  • 診断済みで平日通所できるならミラトレ見学、そうでない人は4軸を自力で組み立てるのが現実的
もーやん

転職自体はできるんだよね。面接も通る。でも1〜2年で辞めちゃう。次こそ長く勤めたいけど、何を直せばいいのかわからない。

かりぶー

それ、気合の問題じゃなくて「長く働く力」の4軸が未整備なだけかもしれない。疲労管理、自己理解の言語化、配慮申告、トラブル対処。

もーやん

4つもあるのか……。それ全部独学で学ぶのは大変そう。

かりぶー

ミラトレみたいな就労移行支援はこの4軸をカリキュラム化してる。ただ、通えない人でも自力で学べる部分はあるから、両方整理していくよ。

この記事では、発達障害・グレーゾーンの大人が「職場で長く働く」ために必要なスキルを、研究データと当事者の体験をもとに4つの軸に分解して整理します。そのうえで、ミラトレがこの4軸をカリキュラムでどう扱っているか、就労移行支援を使えない人がどう独学するかを具体的に解説します。

目次

この記事が向いている人・向いていない人

この記事がどういう方に向いているかを先に整理しておきます。

向いている人
向いていない人
  • 就職はできるが、1〜2年で辞めてしまうパターンを繰り返している
  • 就労移行支援に通うか迷っている、またはミラトレの名前は聞いたことがある
  • 在職中で、次に辞める前に「続ける力」を身につけたい
  • 診断・手帳がなく、独学で「長く働く力」を整理したい
  • 離職の原因を精神論ではなく構造的に知りたい

向いていない人に該当する場合は、上記のリンク先の記事が参考になるかもしれません。

体験:3社目で気づいた「続かない構造」

離職は性格の問題ではなく、疲労の蓄積と言語化不足が重なった結果だった、という気づきから話を始めます。

ここで扱うのは、3社続けて1〜2年で辞めた当事者が、同じパターンを繰り返していたと気づいた場面です。後半の構造解説につながる導入として読んでください。

エピソード:送別会の帰り道

自分が経験した場面を紹介します。

3社目も1年半で辞めた。最後の3ヶ月はほとんど休みの日もベッドから出られなかった。

送別会の帰りに同期から「なんか前の会社のときも同じこと言ってなかった?」と言われた。言われて初めて気づいた。

毎回、入社半年はうまくやれている。1年を超えたあたりから急に削れはじめる。そして限界が来て辞める。

転職活動は得意だった。面接は通る。でも続かない。辞める理由はそのたびに違う気がしていたけど、並べてみると全部「疲れ切ったから」だった。

その日、家に帰って過去の退職理由をメモに並べた。「人間関係」「業務内容の不一致」「残業」。書き出した言葉は違う。でも、辞めた直前の自分の状態は全部同じだった。

「続かない」はそれぞれの会社で違う理由があるように見えて、実は同じ一本の構造を繰り返していた、という気づきです。この構造は性格ではなく、いくつかのスキルが未整備だったことの結果だと、あとで少しずつわかってきました。

「続かない自分」を性格の問題として抱え込んでいる人は多いと思います。このあたりの「がんばってるのに空回りする」構造については 「がんばってるのに空回りする」の正体 でも別の角度から整理しています。

もーやん

辞めた理由は毎回違う気がしてたけど、「疲れ切った」って共通点があるのは確かにそうかも。

かりぶー

理由の書き方が違うだけで、本質は同じってことはよくある。だから対処法も、表面の理由じゃなくて「なぜ毎回疲れ切るまで行くのか」から考えないと再発するんだよね。

研究で見る「定着」の実態|発達障害の職場定着率とその背景

発達障害を持つ労働者の職場定着率は一般より低く、その背景には環境要因と特性要因の両方があると報告されています。

ここでは公的な統計データから、「続かない」が個人の問題ではなく構造的な課題であることを確認します。

定着率の数字

厚生労働省の障害者雇用実態調査では、発達障害者の離職理由の上位に「職場の雰囲気・人間関係」「症状・障害」「賃金・労働条件」などが挙がることが報告されています。またJEED(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構)が公表している「障害者の就業状況等に関する調査研究」では、精神障害・発達障害の1年後定着率は、他の障害種別と比較して低めの水準で推移していると整理されています。

就労移行支援事業所を経由して就職した人の定着率は、経由しなかった場合より高めに出る傾向があることも、JEEDや厚生労働省の関連資料で示されています。ただしこれは「就労移行支援が万能」という意味ではなく、就職前の準備と就職後の伴走がある場合は相対的に定着しやすい、という示唆として読むのが妥当です。

数字の裏にある3つの要因

定着率の差を生む要因を整理すると、以下のような構造が見えてきます。

  • 疲労の蓄積
    マスキングや感覚過敏で日々エネルギーが削られ、回復時間を業務時間の外でしか取れないと数ヶ月で限界が来る
  • 配慮の不在
    特性を言語化できないと周囲に伝わらず、小さな調整も起きない。結果として業務環境が「素のまま」で続く
  • 相談先の欠如
    「しんどい」を検知しても行き先がないと、退職が唯一の解決策に見える

この3つは独立しているわけではなく、連動しています。疲労が溜まる → 言語化する余力がなくなる → 配慮が発生しない → さらに疲労が溜まる、という悪循環です。定着率の差は、この悪循環を「個人の努力」で回すか、「仕組みと支援」で断ち切るかの違いとも言えます。

長く働くための4軸|発達障害・グレーゾーンに必要な構造的スキル

発達障害・グレーゾーンの大人が長く働くために必要なスキルは、「疲労管理」「自己理解の言語化」「配慮申告」「トラブル対処」の4軸に整理できます。

ここからが本記事の中心です。4軸それぞれについて、なぜ必要か(専門的な裏付け)と、何が具体的スキルかを見ていきます。

軸1:疲労管理|回復時間を業務設計に組み込む

1つ目は疲労管理です。ASD傾向の成人を対象とした研究では、社会的場面での「マスキング(カモフラージュ)」—特性が目立たないように振る舞うこと—が、慢性的な疲労やバーンアウトに結びつきやすいという報告があります。「普通に振る舞う」こと自体に認知的コストがかかり、そのコストは本人にも周囲にも見えにくい、という特徴があります。

ADHD傾向の場合も、刺激への過敏さや切り替えの負荷が大きく、職場環境によっては消耗が蓄積しやすいことが、成人ADHDの職業的課題に関するレビュー研究でも指摘されています。

問題は、このコストの回復を「業務時間の外」でしか取れない設計になっていることです。平日に使い切って、週末で少し戻して、また平日に使い切る。数ヶ月で収支がマイナスになり、限界が来て辞める。これが「1年持たない」構造の正体です。

疲労管理として具体的にやれることを整理しておきます。

  • 通勤を回復時間として設計する
    ノイキャンイヤホン、静かなルート、一本早い電車で座って移動する、など
  • 週の中盤にバッファ日を置く
    水曜は会議を入れない、午後に1時間の集中タイムを確保する、など
  • 金曜夜に予定を入れない
    1週間分の疲労を回収するための時間として確保する
  • 有給の予防的取得
    しんどくなってから使うのではなく、2ヶ月に1回のペースで先に確保する

大事なのは「頑張って回復する」のではなく「回復をデフォルトの業務設計に組み込む」という発想の転換です。根性で乗り切るフェーズを作らないこと。それが長く働く条件の1つ目です。

軸2:自己理解の言語化|他者に伝えるための言葉を持つ

2つ目は自己理解の言語化です。ASD成人の対人コミュニケーションに関する研究では、相互理解の非対称性が職場適応に影響することが報告されています。簡単に言うと、自分の特性を言語化できないと、相手にも伝わらず、配慮も相談も発生しない、という構造です。

「得意なこと・苦手なこと」のレベルで終わらせず、その裏にある機能(聴覚情報処理、切り替え、同時並行、感覚処理など)まで言葉にできると、他者との橋がかかりやすくなります。

エピソード:WAISを受けて言葉が変わった

自分の場合を紹介します。

「自分は報告書は書けるのに電話対応は苦手」。これを長年、うまく説明できなかった。

面接で「何が得意ですか」と聞かれて「文章を書くことです」と答える。「苦手は?」と聞かれて「電話対応です」と答える。「なんで?」と聞かれると詰まった。「苦手なんで……」としか言えなかった。

30歳のときに心療内科でWAISを受けた。言語理解と処理速度に20以上の差があると言われた。「耳から入ってくる音声情報を速く捌くのが苦手なタイプです」と説明された。

その言葉を持ち帰ってから、他人への説明が変わった。「電話が苦手」じゃなくて「音声情報の同時処理が遅いので、メモを取りながらだと抜ける」と言えるようになった。相手の反応も変わった。「じゃあチャットベースでいいよ」って言われることが増えた。

苦手の内容は変わっていない。変わったのは言葉だけ。それで通る話が増えた。

「苦手だから苦手」という説明は、相手にとって「わがまま」に聞こえやすい。でも「機能の話」として説明されると、相手は「じゃあ代替手段を」という思考に切り替えやすくなります。言語化は自分のためというより、他者との橋をかけるための作業です。

職場には「言語化されていない前提(暗黙のルール)」も多く、自己理解の言語化はこの暗黙ルールとセットで整理するほうが現実的です。 暗黙のルールがわからない — 大人のASD傾向あるある も参考になります。

自己理解の言語化として具体的にやれることを整理しておきます。

  • 得意・苦手を職務と結びつけて書き出す
    「文章を書く」ではなく「1人で資料化する業務は速い」まで具体化する
  • 苦手の裏にある機能を言葉にする
    「電話が苦手」ではなく「聴覚情報の同時処理」「ワーキングメモリ」などの機能単位に翻訳する
  • 1on1で使える3センテンスを用意する
    「私は〇〇が得意です」「〇〇は苦手なので△△の工夫をしています」「もし可能なら□□だと助かります」

ポイントは「自分が納得できる言葉」ではなく「他者に通じる言葉」を探すことです。一人で考え込むより、カウンセリングや当事者コミュニティで言葉をもらうほうが速い場合もあります。

軸3:配慮申告スキル|「何を・どの粒度で・誰に」を設計する

3つ目は配慮申告です。成人ADHDの職業的課題に関するレビュー研究では、業務量の調整・指示の文字化・静かな作業環境といった小さな配慮の積み重ねが、職場適応や継続就労に一定の効果を持ちうると整理されています。ただし、配慮は自動では発生しません。誰かが言い出さないと始まらない。

厄介なのは、手帳あり・手帳なしで使えるフレーズや前提が異なることです。手帳があれば合理的配慮の申請として正面から組み立てられますが、手帳なしの場合は「業務特性」としてフラットに伝えるアプローチになります。

エピソード:面接では言えなかったけど

自分の場合を紹介します。

今の会社に入るとき、手帳は持っていなかった。でも過去の離職を繰り返したくなかった。

面接の直前、控え室のトイレで「自分は会議で複数人の声を聞き取るのが苦手です」と声に出して練習した。

結局、面接では言えなかった。言ったら落ちる気がした。

入社してから上司に「会議の議事録、後から書き起こすので口頭だけだと抜けるかもしれません」と伝えた。

「あ、じゃあ録音してくれていいよ」と返ってきた。それで済んだ。半年早く言えばよかった、と思った。

「言ったら落ちる」と感じる場面と、「業務ベースで頼む」場面は文脈が違う、という話です。面接は評価の場、入社後は一緒に働く相手との調整の場。評価軸が違うところでは、通りやすさも違います。

配慮申告として具体的にやれることを整理しておきます。

状況フレーズの組み立て伝える相手の優先順位
手帳あり「業務影響 → 希望する配慮 → 代替手段」の3点で組み立てる直属上司 → HR → チーム
手帳なし障害名を出さず「業務特性」ベースで伝える。「口頭指示より文字化が助かります」など直属上司 → チーム

ポイントは「障害名があるかないか」より「業務影響 × 代替手段」のセットで話せるかどうかです。代替手段まで提案できれば、相手は受け入れやすくなります。

グレーゾーンで転職を考えている人は、配慮申告の設計が転職戦略とも直結します。 グレーゾーンの転職戦略 で、伝える・伝えないの判断軸を整理しています。

軸4:トラブル対処|相談先を事前に多層化しておく

4つ目はトラブル対処です。JEEDや厚生労働省の就労支援関連の資料では、就職後の相談窓口や定着支援の利用が継続就労と結びつきやすいことが示されています。言い換えると、「しんどい」の検知が遅れたり、相談先がなかったりすると、退職が唯一の解決策に見えてしまう、ということです。

エピソード:しんどさ点数を書く

自分の場合を紹介します。

自分は「しんどい」に気づくのが遅い。気づいたときにはもう布団から出られなくなっている。

同僚は「昨日ちょっと寝不足で」と朝に言える。自分はそういう日常の弱音が出てこない。気づいたときは「2週間前から眠れていない」になっている。

心理士の知り合いに「週1で1〜10のしんどさ点数を手帳に書くだけでも違うよ」と言われてやってみた。

最初はほぼ毎週5と書いていた。3ヶ月経って見返すと、同じ5でも「会議が多い週の5」と「締切前の5」は別物だとわかってきた。

7を超えた週の翌週は有給を取るようにした。それだけで、布団から出られなくなる頻度が減った。

「しんどい」を1〜10で数値化するのは地味な作業ですが、記録することで初めて「自分の通常値」と「異常値」の差が見えてきます。異常値に達する前に対処できれば、辞めるボタンを押すところまで行かずに済みます。

トラブル対処として具体的にやれることを整理しておきます。

  • 週1のセルフチェック
    1〜10のしんどさ点数を手帳やアプリに記録する。3ヶ月続けると自分の傾向が見える
  • 相談先の多層化
    職場EAP、主治医、カウンセリング、信頼できる友人の4層を先に確保しておく
  • 辞めるボタンを押す前のチェックリスト
    「有給は取ったか」「主治医に相談したか」など、退職前に踏むステップを事前に決めておく

トラブル対処の相談先は、限界が来てから探すと間に合わないことが多いです。元気なうちに1つずつ増やしておくのが現実的です。

もーやん

4軸って聞くと当たり前だけど、改めて並べると自分はほとんど身につけてないかも。

かりぶー

身につけてる人は少ないよ。学校でも会社でも教えてくれないから。気合の問題じゃなくて、学ぶ機会がなかっただけ。

ミラトレがこの4軸をどう扱うか|カリキュラムと支援構造

ミラトレ(パーソルダイバース運営)は、この4軸を体系的にカリキュラム化している数少ない就労移行支援のひとつです。

就労移行支援そのものの全体像を知りたい場合は 就労移行支援とは|グレーゾーン視点での制度解説 を先に読むと理解しやすいです。ここではミラトレが4軸をどう扱っているかを整理します。

4軸とミラトレのカリキュラムの対応

ミラトレのプログラム構造を、先ほどの4軸に当てはめると以下のようになります。

4軸ミラトレのカリキュラム
疲労管理セルフケア・ストレスマネジメント講座、体調管理プログラム
自己理解の言語化自己分析ワーク、職業適性の棚卸し、ナビゲーションブック作成
配慮申告企業実習、面接対策、ナビゲーションブックを使った申告練習
トラブル対処定着支援(就職後6ヶ月以上)、スタッフ伴走、通所中の相談

特徴的なのは「ナビゲーションブック」と呼ばれる自己理解と配慮申告を統合したツールを作る点と、就職後も6ヶ月以上の定着支援がセットになっている点です。4軸を単発の講座として扱うのではなく、入所から就職後までの線で設計されているのがミラトレの強みです。

利用条件や拠点、費用の詳細は ミラトレの口コミ・評判|「長く働く」特化の就労移行支援、グレーゾーンでも使える? に整理しています。原則として障害者手帳または医師の診断書が必要ですが、見学や相談だけならこれらがなくても参加できます。

エピソード:見学で気づいた「雑談の力」

見学に行ったときの場面を紹介します。

在職中、ミラトレの見学に一度行った。プログラム中の休憩時間に、通所している人たちが雑談していた。

「昨日見たアニメ」「昼に食べたパン」。

その場にいるだけで、少しだけ呼吸が浅くなっていたのがゆるむ感じがあった。

帰り道、スタッフの人が「ああいう雑談できる時間、意外と大事なんですよ」と言っていた。職場の雑談とは違う。評価されない雑談だった。

それまで「休憩=一人で静かにする時間」だと思っていた。でも、弱いつながりの中でゆるむ時間も回復になる、というのは自分にとって発見だった。

カリキュラムの中身だけでなく、「同じような特性を持つ仲間がいる環境」そのものが4軸のうち疲労管理と自己理解の言語化を支えている、という話です。独学では得にくい要素のひとつです。

同じパーソルグループにはIT特化の就労移行支援「Neuro Dive」もあります。汎用型のミラトレとIT特化のNeuro Diveの使い分けについては ミラトレ vs Neuro Dive|就労移行支援2社比較 で整理しています。

見学は手帳なしでも可

ミラトレは原則として障害者手帳または医師の診断書がある方が対象ですが、見学や個別相談には手帳・診断書がなくても参加できる場合があります。「自分が通所対象かどうか」も含めて一度話を聞いてみる、という使い方は現実的です。

通所を決める前でも、4軸のうち「自己理解の言語化」と「配慮申告」については、見学・相談の段階でスタッフと話すだけでも言葉の手がかりが得られることがあります。

就労移行支援を使わずに4軸を学ぶ方法|在職中・未診断・手帳なしの人向け

就労移行支援に通えない場合でも、4軸は書籍・カウンセリング・コーチング・当事者コミュニティの組み合わせで部分的に学べます。

就労移行支援は原則として離職中の方が対象のため、在職中の方や未診断の方は別ルートが必要です。ここでは4軸ごとに、独学で使える手段を整理します。

4軸別の独学ルート

4軸自力で学ぶルート
疲労管理書籍(『発達障害サバイバルガイド』等)、セルフモニタリングアプリ、オンラインカウンセリング
自己理解の言語化WAIS-IV等の心理検査、オンラインカウンセリング、キャリアコーチング
配慮申告書籍(長く働くためのヒント系)、当事者コミュニティ、産業医との面談
トラブル対処主治医、カウンセラー、EAP、信頼できる友人の多層化

独学ルートの弱点は、「体系的に・仲間と・スタッフ伴走で」という3点セットが揃わないことです。逆に言えば、この3点に価値を感じない人や、すでに自分で整理する習慣がある人は、独学でも十分に4軸を組み立てられます。

在職中にやる場合の優先順位

在職中で「次に辞める前に4軸を整える」をしたい場合、取り組む順番を決めておくと現実的です。

  • 最初に軸1(疲労管理)
    限界が来る前に取り組まないと、他の軸に使うエネルギーが残らない
  • 次に軸4(トラブル対処)
    相談先の多層化は元気なうちにやっておかないと、限界時に動けない
  • その後に軸2(自己理解の言語化)
    時間のかかる作業。カウンセリングやWAISを活用する前提で3〜6ヶ月のスパンで取り組む
  • 最後に軸3(配慮申告)
    軸2の言語化が進んでいないとフレーズが組み立てられない。順番を守る

4軸を同時に始める必要はありません。疲労管理と相談先の確保だけでも、「限界が来る前の減速装置」としての効果があります。

離職前提で「次の職場で活かす」場合

今の職場を辞めることがほぼ決まっていて、「次こそ続く職場に」と考えている場合は、離職期間を使って就労移行支援に通うという選択も現実的です。離職後であれば利用条件を満たしやすく、通所しながら4軸を体系的に学べます。

通所条件(手帳・診断書の要否、利用期間、費用など)の詳細は ミラトレの口コミ・評判|「長く働く」特化の就労移行支援、グレーゾーンでも使える? で整理しています。見学は条件に関わらず受け付けているので、「自分が対象かどうか」の確認だけでも利用価値があります。

実生活への応用|明日からできる最小ステップ

4軸を全部整えるのは大仕事ですが、「今日・今週・今月」の粒度で最小ステップを決めておけば、在職中でも少しずつ進められます。

最後に、実際の生活に落とし込むためのステップを整理します。

今日やること(15分)

  • 過去3社の退職理由を並べて書く
    書き出してみると、表面の理由と本当の原因の差が見えることが多い
  • 今のしんどさを1〜10で数値化する
    今日の点数をメモするだけで、軸4の第一歩になる

今週やること(1〜2時間)

  • 次の金曜夜を予定ゼロにする
    「回復時間の先確保」として、1週間だけでもやってみる
  • 相談先を1つ追加する
    主治医がいなければ心療内科を探す、カウンセリングの候補を3つリストアップする、など

今月やること(半日〜1日)

  • 自己理解の棚卸しを半日かけてやる
    得意・苦手と、その裏にある機能を紙に書き出す。1on1で使える3センテンスを作る
  • 就労移行支援の見学を1件入れる
    通所するかどうかは別として、スタッフと話すだけでも情報量が増える

この3段階で大切なのは「今月を完璧にやろうとしない」ことです。今日の15分をやるだけで、軸1と軸4に着手したことになります。4軸は並行して少しずつ進めていくもので、一気に整える必要はありません。

よくある質問(FAQ)

ミラトレ利用条件・在職中の使い方・独学との違いなど、本記事に関してよく聞かれる質問をまとめます。

手帳がない、診断もないけれどミラトレは利用できますか?

通所には原則として障害者手帳または医師の診断書が必要です。ただし見学・相談だけなら、これらがなくても参加できます。未診断の場合は、本記事で紹介した「自力で4軸を学ぶ」ルートも選択肢になります。必要に応じて心療内科・精神科の受診を検討し、診断書が出れば通所の道も開けます。

在職中でも利用できますか?

就労移行支援は原則として離職中の方が対象です。在職中の方は、カウンセリング、キャリアコーチング、書籍による独学で4軸を学ぶのが現実的です。離職することが決まっている場合は、離職後の利用も検討できます。

「長く働く力」は本当に就労移行支援でしか学べないのですか?

いいえ。本記事の4軸は、独学・カウンセリング・書籍・当事者コミュニティでも部分的に学べます。ただし、「体系的なカリキュラム・同じ特性を持つ仲間・スタッフの継続的な伴走」の3点は就労移行支援の強みで、独学では揃えにくい要素です。

短期離職を繰り返しているのですが、定着は可能ですか?

短期離職の繰り返しは、多くの場合「続かない性格」ではなく、4軸のどこかが未整備な結果です。どの軸が特に弱いかを特定し、そこから順に取り組むと、再現性のある対処になります。「また同じパターンになりそう」と気づけること自体が、これまでの経験の蓄積で、対処の出発点になります。

ミラトレとNeuro Diveはどう違うのですか?

同じパーソルグループですが、ミラトレは汎用型(全職種対象・全国に複数拠点)、Neuro DiveはIT特化型(拠点数は少なめ)という違いがあります。IT職を目指すかどうか、通える範囲にあるか、で選び分けるのが一般的です。詳細は ミラトレ vs Neuro Dive|就労移行支援2社比較 で整理しています。

4軸のうち、一番最初に取り組むべきはどれですか?

在職中の方は軸1(疲労管理)と軸4(トラブル対処)を優先するのが現実的です。軸2(自己理解の言語化)や軸3(配慮申告)は時間がかかる作業なので、エネルギーと相談先を確保してから取り組むほうが続きやすくなります。

まとめ

「長く働く力」は4軸(疲労管理・自己理解の言語化・配慮申告・トラブル対処)に分解できます。ミラトレはこの4軸をカリキュラム化している数少ない就労移行支援ですが、独学・カウンセリング・書籍でも部分的に学べます。

もーやん

結局、ミラトレ使うべきなのかな。

かりぶー

診断済み or 診断書があって、平日通所できるなら、4軸を体系的に学べる数少ない場所だと思う。仲間もいるし、スタッフもいるし、卒業後も伴走してくれる。

もーやん

診断ない人や、すでに働いてる人は?

かりぶー

4軸を自力で組み立てる。書籍、カウンセリング、コーチング、WAIS、当事者コミュニティ。今日のこの記事の4軸を目次にすれば、独学でも進められるよ。

もーやん

「長く働く」って根性の話じゃないんだね。

かりぶー

うん、設計の話。疲労管理・自己理解の言語化・配慮申告・トラブル対処。この4つを少しずつ整えていけば、続けられる確率は上がる。完璧じゃなくていい。今日の15分から始めれば十分。

診断済みで平日通所ができる場合は、まずは見学からという選択肢があります。

通所を決める前の見学は、手帳や診断書がなくても受け付けてもらえます。話を聞くだけでも、自分の現在地と4軸のどこが弱いかが見えやすくなります。詳細な条件は ミラトレの口コミ・評判|「長く働く」特化の就労移行支援、グレーゾーンでも使える? で確認できます。

参考文献

  1. 厚生労働省「障害者雇用実態調査」 — 厚生労働省公式サイト
  2. 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)「障害者の就業状況等に関する調査研究」 — JEED公式サイト
  3. 厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」 — 厚生労働省公式サイト
  4. Raymaker, D. M., et al. (2020) “Having All of Your Internal Resources Exhausted Beyond Measure and Being Left with No Clean-Up Crew: Defining Autistic Burnout” Autism in Adulthood, 2(2) — PubMed
  5. Hull, L., et al. (2017) “Putting on My Best Normal: Social Camouflaging in Adults with Autism Spectrum Conditions” Journal of Autism and Developmental Disorders, 47 — PubMed
  6. Morrison, K. E., et al. (2020) “Outcomes of Real-World Social Interaction for Autistic Adults Paired With Autistic Compared to Typically Developing Partners” Autism, 24(5) — PubMed
  7. Adamou, M., et al. (2013) “Occupational issues of adults with ADHD” BMC Psychiatry, 13:59 — PubMed
  8. Hendrickx, S. (2015) “Women and Girls with Autism Spectrum Disorder: Understanding Life Experiences from Early Childhood to Old Age” Jessica Kingsley Publishers.

本記事の情報は公開時点のものです。発達障害の診断基準や就労支援制度・事業所の利用条件は変更される場合があります。
本記事は医療上のアドバイスや特定の支援機関の利用を断定的に推奨するものではありません。具体的な診断・治療・支援の利用については、主治医・心理専門職・就労支援機関にご相談ください。

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この記事を書いた人

「なんかしんどい」の正体に、対処法をお示ししていくメディアです。

運営者はグレーゾーン当事者(通院歴あり・WAIS等で凸凹判定)。
大手企業で働きながら、自分自身の「得意と苦手の凸凹」と折り合いをつける方法を模索してきました。

このサイトでは、当事者としてのリアルな体験と、論文・臨床知見など学術的根拠に基づく構造的な整理を掛け合わせ、「高機能グレーゾーンの大人」が使える実用情報をまとめています。

記事の内容は臨床心理士・公認心理師の有資格者の確認を経て公開しています。しかし、私たちは医療の専門家ではありません。診断や治療の代替となるものではないことをご承知おきください。

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