この記事のポイント
- 「3ヶ月で年収600万」系の広告はほぼ誇大。現実の成功者はほぼ全員が3段階を踏んでいる
- 現実解は「スクール基礎(3〜6ヶ月)→ 未経験OK求人で実務1〜2年(年収300〜400万)→ 実務3年でハイクラス転職」
- 発達特性があるなら、集団カリキュラムではなく個別指導型・オンライン自走型のスクールを選ぶ
- 30代の戦い方は「新卒的な伸びしろ勝負」ではなく「前職の業務知識 × エンジニアリング」の掛け算
- 未経験OK求人の多くはSES。3年貯めてから事業会社・ハイクラスに移るのが定石
もーやん30代からエンジニアって、もう遅いのかな。広告では「3ヶ月で年収600万」って書いてあるけど、本当にできる人いるの?



結論から言うと、30代未経験からエンジニアになるのは今でも普通にできる。ただ「3ヶ月で600万」の広告は、だいたい盛ってる。現実は3段階あって、全部で3年くらいかかるんだよね。



3段階って?



① スクールで基礎を半年。② 未経験OKの会社で実務を1〜2年(ここが年収300〜400万で、多くはSES)。③ 実務経験3年を超えたタイミングで、ハイクラスの転職に挑む。広告は①と③だけ切り取って「最速」って言うけど、②を飛ばせる人はほぼいない。
この記事では、30代未経験からエンジニアになるための現実的な3段階ロードマップを整理します。発達特性があっても進めるスクール選びの視点と、集団カリキュラムで置いていかれない仕組みの作り方もあわせて紹介します。広告に盛られた「夢」ではなく、3年後に振り返って「あれは正解だった」と言える道筋を書きます。
この記事が向いている人・向いていない人
この記事がどういう方に向いているかを先に整理しておきます。
向いていない人に該当する場合は、上記リンク先の記事が参考になるかもしれません。
なぜ「3ヶ月で年収600万」はほぼ幻想なのか|未経験転職の構造
未経験からいきなりハイクラス求人に入れる人はほとんどいません。現実の採用市場は「実務経験3年」で明確に線引きされているためです。
ITエンジニアの人材不足は事実です。経済産業省のIT人材需給調査では、2030年に最大約79万人のIT人材不足が試算されています。この構造的な需給ギャップが「未経験でもエンジニアになれる」の背景です。
ただし「需要がある」と「ハイクラス求人に未経験で入れる」はまったく別の話です。企業が未経験者に出せるオファーと、経験者に出せるオファーは、年収レンジも募集母数も桁違いに違います。
未経験OK求人とハイクラス求人の壁
IT業界の中途採用市場では、「実務経験3年以上」がハイクラス求人(事業会社・年収500万超)の実質的な分水嶺として機能しています。
具体的にどう違うのかを整理しておきます。
- 未経験OK求人はSES(客先常駐)の比率が高い
初年度年収300〜400万スタートが相場。前職より年収が下がるケースも多い。ただし受託開発や自社開発の未経験採用もゼロではない - 事業会社・自社開発の求人は「経験3年以上」が応募条件になりがち
応募要件で弾かれるため、そもそも書類すら出せない - 年収レンジが段階で大きく変わる
未経験OKは300〜400万、経験3年で500〜650万、それ以上で700万以上というカーブが一般的 - 応募できる求人の母数が5倍以上違う
未経験で見られる求人の数と、経験3年で見られる求人の数は桁が違う
つまり「3ヶ月で年収600万」が成立するには、①スクール修了直後に経験者扱いで採用される、②入社直後から経験者レンジの年収を出される、という二重の奇跡が必要です。構造的に、これは普通起きません。
スクール選びで半年迷った話 ― エピソード
実際に自分がスクール選びで迷った場面を紹介します。
「未経験からエンジニア」で検索して、最初に出てきたスクールは受講料80万だった。次に見たのは60万。3ヶ月で年収600万、と書いてあった。
妻に相談したら「そんなうまい話あるの?」と言われた。そう言われるとそうだよな、と思って、もう1回調べ直した。
Xで同じくらいの年齢の人を探した。30代でスクールから転職した人のポストに「初年度は年収320万だった」と書いてあった。ブログのアフィリンクを踏んだ先に書いてある年収とは、ずいぶん違った。
その人がやっていたのは、集団のカリキュラムじゃなくて、講師と1対1で進めるタイプのスクールだった。料金は30万くらいで、期間は半年。僕は集団授業で進度に置いていかれるのが昔から苦手だったので、その形が良さそうに見えた。
結局、最初の検索から半年経っていた。その半年で、80万のスクールに申し込まずに済んだ。それだけ。
広告の「3ヶ月で600万」と、当事者の「初年度320万」のギャップが現実です。判断軸を持たずに受講料の高いスクールに飛び込むと、修了後に「話が違う」と気づいても遅い、という構造になっています。
30代未経験エンジニアの現実的ロードマップ|3段階で組み立てる
成功している30代未経験エンジニアは、ほぼ全員が3段階のステップを踏んでいます。「最速」ではなく「確実に3年かけて積む」が結果的に最短です。
ここからは具体的な3段階ロードマップを順に説明します。広告では①と③だけ切り取られますが、②を飛ばすと市場に評価されないため、この3段階は順番にしか踏めません。
| 段階 | 期間 | ゴール | 年収レンジ |
|---|---|---|---|
| ①スクール | 3〜6ヶ月 | 基礎スキル+ポートフォリオ1本 | (受講料 20〜80万) |
| ②未経験OK求人で実務 | 1〜2年 | 実務経験を貯める(多くはSES) | 300〜400万 |
| ③ハイクラス転職 | 3年経過後 | 事業会社・自社開発へ | 500〜700万 |
この3段階を押さえずに「最速」を追うと、スクール修了直後にハイクラス求人に応募して全落ち → 自信喪失、という経路に入りがちです。順番を守るほうが結果的に速いです。
段階①:スクールで基礎を習得する(3〜6ヶ月)
1段階目は基礎スキルとポートフォリオ1本を作るフェーズです。目的は「未経験OK求人の書類で落とされないレベル」に到達することで、このフェーズでハイクラス求人を狙うことではありません。
このフェーズで重要なのは次の3点です。
- 言語・フレームワークは1つに絞る
Web系ならRuby on RailsかPHP(Laravel)、インフラ系ならAWS。手を広げないほうが実務で評価される - ポートフォリオは「1つを深く」
チュートリアル数本より、オリジナル1本を深く作り込むほうが面接で話せる - 学習スタイルに合うスクール形式を選ぶ
集団授業で置いていかれる自覚があるなら、個別指導型かオンライン自走型にする
スクール形式の選び方はこの記事の後半で詳しく扱います。ここでは「基礎の完成度は『書類で落とされないレベル』で十分で、入社後に現場で鍛えられる」ことを押さえておけば大丈夫です。
段階②:未経験OK求人で実務経験を1〜2年積む(年収300〜400万)
2段階目が一番きつく、広告でも一番隠されるフェーズです。初年度年収は前職より下がることが多く、最初の所属は受託開発や自社開発よりSES(客先常駐)に落ち着くケースが多くなります。もちろんSES以外の未経験採用もあり、ここは個人の職歴やポートフォリオの質次第です。
ここを飛ばせる人はほとんどいません。理由は簡単で、市場が「実務経験3年以上」で線引きしているためです。経験0の人がいきなり年収600万のオファーをもらうルートは、構造的に存在しません。
転職活動で特性を伝えるべきかどうかで迷っている場合は グレーゾーンの転職戦略 を参考にしてください。一般枠で進めるか、オープン就労を選ぶかの判断軸を整理しています。
初年度、年収320万のSES ― エピソード
実際に自分が2段目で体験した場面を紹介します。
スクールを修了して、転職活動を始めた。面接は20社くらい受けて、最終面接までいったのは3社、内定は1社だった。
内定先はSESの会社だった。客先常駐で、初年度の年収は320万。前職より100万下がった。
最初の現場は、古いシステムの改修で、仕様書を読む作業が多かった。コードは書けるけど、ビジネスロジックがまったく頭に入ってこない日が続いた。
3ヶ月くらい経った頃、現場のリーダーに「前職、何やってたの?」と聞かれた。「UXリサーチャーでした」と答えた。「じゃあ、この画面のユーザーテスト設計、見てくれない?」と言われた。
コードで評価されたわけじゃなかった。前職の仕事で居場所ができた。へえ、と思った。
30代未経験の戦い方は、新卒的な「伸びしろ勝負」ではなく、前職の業務知識を掛け算する方向です。コードだけで若手と競ってもなかなか勝てませんが、業務理解+実装という組み合わせは30代の強みになります。
段階③:実務経験3年でハイクラス転職に挑む
3段目は、実務経験3年を超えたタイミングでハイクラス求人(事業会社・自社開発・年収500万超)に挑むフェーズです。ここまで来て初めて、広告で見た「年収600万」が現実的な選択肢として見えてきます。
3年経って、転職市場が変わった ― エピソード
実際に3年経った時点で転職市場がどう変わったかを紹介します。
実務経験が3年を超えた頃、転職エージェントからの連絡の温度が変わった。それまではSES案件しか紹介されなかったのに、事業会社の求人が来るようになった。
あるエージェントに「実務経験3年って、そんなに違います?」と聞いたら、「応募できる求人の母数が5倍くらい違いますね」と言われた。年収レンジも、未経験OKは300〜400万だったのが、経験3年だと500〜650万くらい。
スクールの広告で「未経験から年収600万」と見たとき、嘘だと思ったけど、嘘じゃなかった。ただ、3ヶ月じゃなくて、3年と3ヶ月の話だった。
ハイクラスのエージェントに登録したのは、そのタイミングだった。スクール直後に登録しても、正直、紹介できる求人はなかっただろうなと思う。
ハイクラス転職エージェントの登録タイミングは、実務経験3年を超えたあたりが現実的です。この段階になって初めて紹介可能な求人の母数が跳ね上がります。3段目の具体的な動き方は TechGoの口コミ・評判(IT特化ハイクラス転職) で詳しく扱っているので、3年経った時点で改めて参考にしてください。



3年もかかるのか…。もっと速くできないの?



「3年」って聞くと長く感じるけど、未経験転職としては標準的なんだよね。30代から別職種に転向するとき、どの業界でも「ひととおりできる」と言えるまで2〜3年はかかる。エンジニアだけが特別遅いわけじゃない。
発達特性がある人のスクール選び|集団型で置いていかれないための指針
発達特性がある場合、スクールは「料金」より「進め方が自分に合うか」で選ぶのが正解です。集団カリキュラム型のブートキャンプは、一度遅れると取り戻しが難しい構造になっています。
ここからは発達特性・グレーゾーンの自覚がある人向けに、スクール選びの3つの指針を整理します。
指針①:集団一斉型ではなく「自分のペースで進められる」形式を選ぶ
スクールには大きく分けて3つの形式があります。
- 集団一斉型(ブートキャンプ)
全員が同じカリキュラムを同じ速度で進む。遅れると取り戻しが難しい。短期集中で費用は高め - オンライン自走型
教材を自分のペースで進める。質問は随時チャットで。時間の自由度は高いが、自己管理の負荷が大きい - 個別指導型(マンツーマン)
講師と1対1で進める。進度を自分に合わせられる。料金はオンライン自走型より高めだが、集団型より安いこともある
集団一斉型で昔から置いていかれる自覚があるなら、ここは避けておくのが無難です。ブートキャンプは「決められた期間で一気に駆け抜ける」設計なので、1週間遅れるだけで挽回が難しくなります。個別指導型の選択肢については プログラミングスクールが続かない発達グレーゾーンへ|マイペースに学べる個別指導型とWinスクール活用法 で詳しく扱っています。
指針②:オンライン自走型なら「質問のしやすさ」を最優先する
オンライン自走型を選ぶ場合、自分のペースで進められるのが最大のメリットですが、同時に「詰まったときに誰に聞くか」が弱点になります。
オンライン自走型の代表例として DMM WEBCAMP|未経験からITエンジニアを目指すプログラミングスクール があります。オンライン完結で自分のペースで進められるタイプで、チャットサポートやメンター面談が付いています。詳しくは DMM WEBCAMPの口コミ・評判|グレーゾーンでも使える?料金・転職保証・給付金を当事者目線で検証 でレビューしています。
オンライン自走型を選ぶときに確認すべきポイントを整理しておきます。
- 質問のレスポンスタイム
「24時間以内に回答」などの明記があるか。詰まった時間がそのまま進捗の遅れになるため重要 - メンター面談の頻度
週1〜隔週で進捗確認の面談があるか。自走だけだと途中で止まりがちな人には必須 - 受講期間の柔軟性
延長制度があるか。仕事と両立する場合、予定通り進まない前提で選んだほうがいい
自走型は自由度が高い反面、自己管理できないと教材を買っただけで終わるリスクがあります。面談や進捗管理の仕組みがセットになっているかを確認してください。
指針③:対面型・通学併用なら「個別指導+教室」を選ぶ
オンラインだけだと手がつかないタイプ、自宅では集中できないタイプの場合、通学併用+個別指導のスクールが合うことが多いです。
通学併用の代表例として Winスクール|プログラミング個別指導(少人数制) があります。全国の教室で個別指導を受けられる形式で、集団で置いていかれる不安がある人向けに設計されています。詳しくは Winスクール プログラミングの口コミ・評判|個別指導はグレーゾーンに合うのか?料金・コース・向き不向きを正直に解説 でレビューしています。
通学併用型を選ぶメリットを整理しておきます。
- 物理的に教室に行くことで強制的に学習時間が確保できる
自宅で集中できない人、仕事帰りに切り替えが必要な人に向く - 講師に直接質問できる
チャットより対面のほうが早い。詰まる時間が短くなる - 個別カリキュラムで進度調整が可能
集団授業のようなペース縛りがない
料金はオンライン自走型より高めですが、通学の仕組みがあることで「結局続かなかった」のリスクを下げられます。自分の生活パターンと相性を見て選ぶのが良いです。



集団授業で置いていかれるの、昔から苦手なんだけど。



その自覚があるなら、集団型のブートキャンプは避けたほうがいい。個別指導型か、オンライン自走型+メンター面談付き。料金より、カリキュラムの進め方が合うかが大事。
やらない方がいいこと|30代未経験が失敗しやすい3パターン
対処法と同じくらい重要なのが、よくある失敗パターンを避けることです。 30代未経験が陥りやすい3つの落とし穴を整理しておきます。
- 受講料が高いスクールを「覚悟を決めるために」選ぶ
80万のスクールが30万のスクールより3倍内容が良いわけではありません。高額スクールの価格には広告費が上乗せされていることも多く、内容で選ぶべきです - スクール修了直後にハイクラス求人に応募する
実務経験0の状態で経験3年レンジの求人に出しても、書類でほぼ落ちます。面接に呼ばれずに自信を失うルートに入るので、まずは未経験OK求人(多くはSES)に絞って動くのが現実的です - 言語・フレームワークを手広く学ぼうとする
Ruby、PHP、Python、Go…とあれこれ触っても中途半端になります。1つの言語でポートフォリオを1本深く作り込むほうが、面接で話せる内容が圧倒的に増えます
よかれと思ってやりがちな3つですが、どれも結果的に遠回りになります。「3年計画」の前提で動くと、これらの判断ミスは避けやすくなります。
よくある質問
30代未経験からのエンジニア転職について、読者からよく寄せられる疑問をまとめました。
まとめ



「3ヶ月で600万」は嘘じゃなくて、3年と3ヶ月の話だったのか。



そう。広告は①のスクール部分と③のハイクラス部分だけ切り取って見せてるだけ。間にある②の「未経験OK求人で実務を貯める」期間を飛ばせる人はほぼいない。逆に言えば、この3段階を順番に踏めば、30代未経験でも普通に到達できる。



とりあえず、まずはスクールだな。



うん。で、スクールは「料金」じゃなくて「進め方が自分に合うか」で選ぶ。集団型で置いていかれる自覚があるなら個別指導型かオンライン自走型+メンター面談付きにする。ポートフォリオは1つを深く。最初の会社はSESになっても焦らず、3年貯めてからハイクラスに動く。これだけ守れば、3年後には今とだいぶ違う景色が見えてる。



3年後のハイクラス転職の話、その頃になったらまた読みに来る。



3年後のステップについては TechGoの口コミ・評判(IT特化ハイクラス転職) で扱ってるから、実務経験が3年近くなったタイミングで見てみて。まずは今のフェーズに集中するのが一番いい。
転職活動で特性を伝えるかどうかで迷っている場合は グレーゾーンの転職戦略 も参考にしてください。個別指導型のスクール比較は プログラミングスクールが続かない発達グレーゾーンへ|マイペースに学べる個別指導型とWinスクール活用法 で詳しく扱っています。
参考文献
- 経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019, みずほ情報総研委託) — 経済産業省
- 情報処理推進機構(IPA)「IT人材白書」「DX白書」 — IPA
- 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「ソフトウェア開発技術者」 — 厚生労働省
本記事の情報は公開時点のものです。IT業界の採用動向・スクールの料金・各種制度は変更される場合があります。
本記事は特定のスクール・転職サービスの利用を推奨するものではありません。受講・転職の判断はご自身の状況に合わせて行ってください。








