この記事のポイント
- チロシンはドーパミンとノルアドレナリンの前駆体アミノ酸。サプリとして合法で、安全性も比較的高い
- ADHDの処方薬(コンサータ・ストラテラ)の代わりにはならない。作用機序が根本的に違う
- 研究で再現性があるのは「ストレス下・睡眠不足・高負荷な認知作業の前」に摂った場合の「認知機能低下を食い止める」効果
- 普段の集中力を底上げする効果は支持されていない
- 甲状腺疾患・MAOI・高血圧の薬を服用中の人、妊娠授乳中、フェニルケトン尿症(PKU)の人は要注意
もーやんチロシンってADHDに効くの?ドーパミンの材料だって聞いて、コンサータの代わりにならないかなって。



気持ちはわかるんだけど、「代わり」にはならない。これは最初に言っておきたい。ただ、徹夜明けとかプレゼン前みたいな「頭が回らないぞ」って場面でなら、研究でもそれなりに効果が出てる。使いどころを選べば意味はあるサプリ。



なるほど、「普段使い」じゃなくて「勝負所」用ってこと?



そう。そしてもう一つ、処方薬が本当に必要な段階の人は、サプリで粘らずに病院に行ってほしい。そこは正直にいきたい。
この記事では、チロシンとドーパミンの関係を誇張なしで整理し、「効く条件」と「効かない条件」を研究ベースで分けて提示します。処方薬との違い、形態の選び方(L-チロシン/NALT)、用量・タイミング、安全性の注意点まで、グレーゾーン当事者が自分で判断するための材料を揃えた内容です。
この記事が向いている人・向いていない人
この記事がどういう方に向いているかを先に整理しておきます。
向いていない人に該当する場合は、上記のリンク先が参考になります。処方薬を検討する段階の人は、この記事で扱う範囲を超えるので必ず医療機関を受診してください。
チロシンとドーパミン|材料を足せば増える、わけではない
チロシンはドーパミンとノルアドレナリンの前駆体アミノ酸ですが、「材料を増やせば神経伝達物質が増える」という単純な関係ではありません。
ネット上の説明だと「チロシン→ドーパミン」の矢印だけが強調されがちですが、実際の体内での流れはもう少し複雑です。まずそこを整理しておきます。
チロシンから何ができるのか
体内でのチロシンの代謝経路は、ざっくり以下のようになっています。
- チロシン → L-DOPA → ドーパミン
ドーパミンの前駆体。集中・意欲・報酬系に関与する神経伝達物質 - ドーパミン → ノルアドレナリン → アドレナリン
覚醒・注意・ストレス応答に関与する - チロシン → 甲状腺ホルモン(T3/T4)
代謝の調整に関与。甲状腺疾患がある人が注意すべき理由はここ
ADHD文脈で注目されているのは最初の経路(ドーパミン合成)ですが、チロシンは甲状腺ホルモンの材料でもあるため、甲状腺疾患のある人は安易に摂るべきではありません(後述)。
「材料を足せば増える」が成立しない理由
ここが一番誤解されやすいポイントです。
普段、血中のチロシン濃度は十分にあり、ドーパミン合成の律速段階はチロシンの量ではなく、チロシン水酸化酵素(TH)の活性です。つまり「材料を増やす」ことではドーパミンはあまり増えません。
ただし例外があります。ストレス・睡眠不足・高強度の認知作業で神経伝達物質の消費が激しくなると、一時的にチロシンの供給が追いつかなくなり、そこにチロシンを足すと消費に追いつける、という場面が生じます。研究で効果が確認されているのは、まさにこの「消費>供給」の状態に限定される、と考えるのが近いです。



じゃあ、普段元気なときに飲んでもあんまり意味がないってこと?



そう。プラセボと大して変わらないっていう研究結果が出てる。逆に、消耗してるときに飲むと差が出やすい。
研究でわかっていること・わかっていないこと
チロシンの効果を評価するときは、「どんな条件の研究で効果が出たのか」を区別することが重要です。
代表的な3本の研究を整理します。いずれもPubMedで原著にアクセスできます。
Deijen 1999:軍事訓練中の士官候補生
士官候補生を対象に、6日間の戦闘訓練コース中にチロシンを投与した研究です[1]。
訓練中は睡眠不足・高ストレス・身体負荷が重なる過酷な条件で、プラセボ群と比べてチロシン群は記憶課題と追跡課題の成績が有意に良好、血圧の上昇も抑えられていました。
この研究が重要なのは、「過酷な条件下で認知機能の低下を食い止める」効果を明確に示した初期の研究だからです。ADHDの文脈でチロシンが語られるときに引かれるエビデンスの多くは、このタイプの研究に遡ります。
Jongkees 2015:システマティックレビュー
2015年に発表された15本の研究をまとめたシステマティックレビューは、チロシンの効果を評価する上で一番重要な文献です[2]。
結論は次のようにまとめられます。
- ストレスや高負荷な認知要求下での効果
認知機能の低下を防ぐ効果は支持される - 健常な状態での認知機能「向上」
支持されない。普段のベースラインを上げる効果はない - うつ・ADHD等の臨床集団への効果
現時点で確立していない。エビデンスが不足している
この結論は、チロシンを使うかどうかを判断するうえでの基本線になります。「効く条件」と「効かない条件」がはっきり分かれているサプリである、という理解が出発点です。
Colzato 2013:ワーキングメモリ課題
健康な成人にチロシン2gまたはプラセボを投与し、N-backタスク(ワーキングメモリの更新を要求する課題)を実施した研究です[3]。
チロシン群はワーキングメモリの「更新(updating)」部分で成績が有意に良好でした。ポイントは、この課題が「認知的に重い」タスクだったことです。つまり「普段の事務作業」ではなく、「頭をフル回転させる場面」でワーキングメモリを支える効果が確認されたという解釈になります。
テーブルで整理すると次のようになります。
| 条件 | 効果の支持 | 代表研究 |
|---|---|---|
| 睡眠不足・高ストレス下の認知機能 | 支持される | Deijen 1999 |
| 高負荷認知作業中のワーキングメモリ | 支持される | Colzato 2013 |
| 健常状態でのベースラインの集中力 | 支持されない | Jongkees 2015(レビュー) |
| ADHDの中核症状の改善 | 確立していない | Jongkees 2015(レビュー) |
この表の意味するところは、「チロシンは万能の集中力サプリではなく、特定の条件下で効く認知サポート素材である」ということです。
「コンサータの代わりにはならない」と言い切る理由
ADHDの処方薬(メチルフェニデート=コンサータ、アトモキセチン=ストラテラ)とチロシンは、作用する場所もメカニズムも根本的に異なります。
ここを正確に理解しておかないと、サプリに過剰な期待をして裏切られ、本来受けるべき医療を遠ざけることになります。
処方薬とチロシンの作用機序の違い
コンサータ(メチルフェニデート)はドーパミンとノルアドレナリンの再取り込みを阻害する薬です。シナプスに放出された神経伝達物質が回収されるのを妨げることで、神経伝達物質の作用時間を引き延ばし、シグナル強度を高めます。
ストラテラ(アトモキセチン)はノルアドレナリンの再取り込みを選択的に阻害します。
一方、チロシンは前駆体アミノ酸です。つまり「合成の材料」を増やすだけで、放出されたドーパミン・ノルアドレナリンの作用を強めるわけではありません。
- コンサータ
ドーパミン・ノルアドレナリンの再取り込みを阻害し、シグナルを強める - ストラテラ
ノルアドレナリンの再取り込みを選択的に阻害する - チロシン
ドーパミン・ノルアドレナリンの「材料」を供給する。合成の律速段階には介入しない
「材料を増やす」ことと「シグナルの強さを変える」ことはまったく別の介入です。処方薬が効くメカニズムを、サプリで再現することはできません。
実際に「代わりにしようとした」結果
実際に自分が試してみた場面を紹介します。
一時期、「これでコンサータなしでも何とかなるのでは」と思っていた時期があった。
毎朝NALTを1000mg飲んで、その日のタスクも詰め込んで、これで乗り切れる、と。
2ヶ月続けた。結論、いつも通りだった。月末にタスクが詰んだ。会議中にぼーっとした。先延ばしした。
コンサータを処方されている知り合いに話したら、「いや、あれドーパミンの出方が違うから、前駆体を足すのとは別物だよ」と言われた。
そうか、と思った。
自分で試した範囲でも、処方薬の代わりにはなりませんでした。処方薬が必要な段階の人がサプリで粘るのは、時間と体力とお金の無駄になる可能性が高いです。
チロシンを試すときの5つのポイント
使うなら「効く条件」に合わせた使い方をする。これが全体の方針です。
ここからは、実際にチロシンを試すときに押さえておきたいポイントを5つに分けて整理します。
ポイント1:形態を選ぶ(L-チロシン/NALT/ALCAR)
市販されているチロシン系サプリには主に次の形態があります。
- L-チロシン(L-Tyrosine)
シンプルなアミノ酸形態。人での研究データが最も豊富。価格も安い - NALT(N-アセチル-L-チロシン)
アセチル基が付いた水溶性の高い形態。吸収の理論値は高いが、人の研究ではL-チロシンより優れるというエビデンスは限定的 - ALCAR(アセチル-L-カルニチン)
別物の成分。チロシンとは関係ないので、「似た名前」で間違って買わないように注意
どちらから試すかというと、最初はL-チロシンが無難です。研究データが多く、価格も安く、体感の比較対象として使いやすいからです。L-チロシンで合わなかった、あるいは胃に来る感じがあった場合にNALTに切り替えてみる、くらいの順番でいいと思います。
国内の一般的なサプリメーカーはチロシン単体の製品をあまり出していません。研究で使われる水準の用量(500〜2000mg)を含む製品を買おうとすると、iHerb経由で海外ブランド(Now Foods、Thorne、Jarrow等)を買うのが現実的です。具体的な商品は Now Foods L-Tyrosine 500mg 120カプセル に候補をまとめました。
ポイント2:用量の目安(500〜2000mg)
研究で使われている用量は、1回あたり100〜150mg/kg(体重換算)が多く、体重60〜70kgの人で6〜10gに相当します。
ただし、実際のサプリ運用ではもう少し控えめの用量(500〜2000mg)で試す人が多いです。これは、研究用量が「効果を出すために設定された理論値」であり、日常運用では消化器への負担や他のアミノ酸との競合を避けるために少なめで試す方が現実的なためです。
- 初回は500mgから
体質に合うか確認するため少量から始める - 通常運用は1000〜1500mg
プレゼン・会議前など「勝負所」の1回分として - 最大でも2000mg/回まで
それ以上増やしても体感が比例して上がるわけではない
「多く飲めば効く」サプリではないので、用量を増やすより、飲むタイミングと場面を合わせることの方が重要です。
ポイント3:タイミング(朝空腹時、タンパク質と分ける)
チロシンは他の大型中性アミノ酸(LNAA:ロイシン、イソロイシン、バリン、フェニルアラニン、トリプトファン等)と同じトランスポーターで脳に運ばれます。つまり食事で大量のアミノ酸を摂った直後にチロシンを追加しても、吸収で競合が起きて効率が落ちます。
- 朝起きてすぐ、空腹時に飲む
タンパク質を含む朝食の30〜60分前がベスト - 効果を感じたい場面の30〜60分前
血中濃度のピークに合わせるため、プレゼン前なら「プレゼン開始の1時間前」くらいに飲む - タンパク質豊富な食事(プロテイン・肉食中心)とは時間を離す
食後すぐに飲むより、空腹のタイミングで飲む方が体感しやすい
コーヒーとの相性については、カフェインと同時摂取が問題という明確なエビデンスはありません。ただし、カフェインを多量に摂っている人は普段のアデノシン受容体の感受性が下がっている可能性があり、相乗効果を期待するならカフェインの取り方も見直すのが先かもしれません。カフェインとの付き合い方そのものに課題がある場合は L-テアニン×カフェインの集中スタック|コーヒーでソワソワする大人の現実解と比率・耐性対策 でテアニンとカフェインの組み合わせも紹介しています。
ポイント4:効果を感じやすい場面(勝負所用)
研究と自分の体感を重ねると、チロシンが「効いたな」と感じやすい場面にはパターンがあります。
- 徹夜明け・睡眠不足の日
頭の重さが軽減される体感がある。Deijen研究と整合的 - プレゼン・重要会議の前
準備の最終段階で頭が滑る感覚を抑える - 繁忙期のピーク
連日高負荷が続いているときに底抜けを防ぐ感覚 - 時差ボケ・長距離移動後
睡眠が乱れた後の認知機能低下を多少抑える
共通するのは、「平常時より負荷が高い」という条件です。「普段使い」のサプリではなく、「勝負所」のサプリ、と理解するのが近いです。
ポイント5:効果を感じにくい場面(普段の静的作業)
逆に、以下のような場面ではほとんど体感が変わりません。
- 十分に睡眠が取れた日の静的な事務作業
ベースラインの向上効果は研究でも支持されていない - ADHDの中核症状(先延ばし・衝動性・注意維持)
これは処方薬の領域。チロシンでは届かない - 慢性的なうつ・意欲低下
抗うつ薬の代替にもならない。医療機関の受診を優先
普段の集中力の底上げを期待すると、ほぼ確実に裏切られます。ここを誤解して「2週間毎日飲んだけど何も変わらなかった」となるケースが多いです。
当事者としての使い方|プレゼン前と徹夜明けの話
ここまでの理屈を踏まえて、実際に自分が試したときの体感を紹介します。広告っぽくない、控えめな解像度で書きます。
効いたときと効かなかったときの両方を紹介するので、期待値の調整に使ってください。
プレゼン前に飲んでみた日
大事なクライアントのプレゼンが午後にあった日、試しに朝起きてすぐNALTを1000mg飲んだ。
コーヒーは1時間あけた。9時に会社に着いて、資料の最終確認をはじめた。
いつもならこの段階で頭が重くて、スライドの文字が滑っていく感じがある。その日は、普通に読めた。それだけ。すごく冴えてるとか、頭がシャキッとしてるとかじゃない。ただ、いつもの「頭が重い」がなかった。
プレゼンは普通にこなした。同席した上司からも「いつも通りだったね」と言われた。
何も起きなかった、という話。
「いつも通り」ができる、というのがチロシンの体感に一番近い表現です。シャキッと覚醒するとか、頭の回転が明らかに上がる、という感覚ではありません。
徹夜明けの会議で「あれ?」となった日
前日寝付けなくて、3時間しか寝れなかった朝だった。
ストックしてあったNALTを1500mg飲んで出社した。午前中に重めの会議が2本入っていた。
正直、普段なら会議中に意識が遠くなって、議事録が空欄だらけになる日。でもその日は、ちゃんと議論を追えた。発言もできた。
終わった後、同僚に「寝てないって言ってたのに、普通だったね」と言われた。
これが何度再現するか、何回か繰り返してみたが、寝不足+高負荷会議の日にはある程度再現した。普段の日は変わらない。論文に書いてあった条件に、たぶん当てはまっていた。
これが一番チロシンの効果を感じた場面でした。寝不足で頭が回らなくなる部分を、ある程度食い止めてくれる感覚があります。
普段の事務作業では何も変わらなかった2週間
逆に、何も変わらなかったパターンも紹介しておく。
平日の朝、出社前に500mgを飲む生活を2週間続けてみた。事務処理とメール返信が中心の日々。
特に何も変わらなかった。集中できる日はできたし、できない日はできなかった。いつも通り。
2週間で3000円くらい使って、体感ゼロ。やめた。
研究を読み返して、「健常時のベースライン向上は支持されない」と書いてあったのを思い出した。そりゃそうだ、という話。
「毎日飲む」運用は、自分の場合は明確にハズレでした。「勝負所で飲む」運用に切り替えてからの方が、体感も費用対効果もよくなりました。



「いつも通りができる」って、地味な効果だね。



そう、地味。でも徹夜明けの会議で「いつも通り」できるって、本来ならあり得ないことなんだよ。そこを評価するか、しないかで、このサプリを使う意味が決まる。
おすすめのチロシンサプリ|コスパで試すなら
前提として「効く人」と「効かない人」がはっきり分かれるサプリなので、まずは安いもので試すのが合理的です。
既存記事で触れている通り、普段の静的作業では効果を感じにくいサプリです。ストレス下・徹夜明け・高負荷プレゼン前など、特定条件下でだけ試すのが理にかなっています。「合わなかったらやめる」前提で、損失が小さい選択から入るのが基本方針です。
日本製のチロシン単体サプリは研究用量(500mg以上)を満たす製品がほぼ存在しないため、iHerbで海外ブランドを買う形になります。以下3つが候補です。
| 商品名 | 用量 | 1日コスト | 形態 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| Now Foods L-Tyrosine 500mg(120粒 約1,500円) | 500mg/粒 | 約13円 | L-チロシン/カプセル | 圧倒的コスパ。入手性◎ |
| Jarrow Formulas L-Tyrosine 500mg(100粒 約1,800円) | 500mg/粒 | 約18円 | L-チロシン/カプセル | iHerb安定在庫。Nowの代替 |
| Thorne NAL-Tyrosine(60粒 約3,000円) | N-アセチル-L-チロシン | 約50円 | NALT/カプセル | 水溶性の高い形態。勝負所用の選択肢 |
国内メーカーからもマルチアミノ酸に少量含まれる製品はありますが、研究で使われる用量(500〜2000mg)の単体サプリは事実上iHerb一択になります。日本製の単体製品はほぼ流通していないため、この点は諦めて海外ブランドで試す形が現実的です。
推しはNow Foods L-Tyrosine 500mg
最初の1本として選ぶなら、Now Foodsの500mgが無難です。理由は4つあります。
- 圧倒的なコスパ(1日約13円)
合わなくても2週間で数百円。損失が小さく、試しやすい - 500mgは実用上の最低ライン
研究用量はこれより多い(100〜150mg/kg)が、日常運用での出発点として扱いやすい。1粒で基本用量をカバーできる - カプセル形態で味覚に配慮
パウダー製品はアミノ酸特有の苦味が強い。カプセルなら味を気にせず飲める - L型(非変性)で体内利用効率が良い
研究で使われる形態と同じ。吸収・代謝に問題が出にくい
「合わなくても損失が小さい」というのが、このサプリを試す上で一番重要な条件です。Nowの500mgならその条件を満たします。
他2候補の使いどころ
Jarrow FormulasとThorneは、Nowで合わなかった場合や、用途が明確に分かれる場合の選択肢です。
- Jarrow Formulas L-Tyrosine
iHerbで在庫が安定している。価格・品質ともにNowと大差ないため、Nowが在庫切れのときの代替として - Thorne NAL-Tyrosine
NALT(N-アセチル-L-チロシン)は水溶性が高い形態。価格はL-チロシンの約2倍で、人の研究でL-チロシンより優れるというエビデンスは限定的。L-チロシンで胃に来た人の代替、またはブランド品質(Thorne)を重視する人向け
「普段はNowで回して、ここぞの日だけThorneを使う」みたいな使い分けもできますが、最初からそこまで凝る必要はありません。まずはNowの1本を試して、自分が「効く人」側かどうかを確認するのが先です。カフェインと併用したい場合は L-テアニン×カフェインの集中スタック|コーヒーでソワソワする大人の現実解と比率・耐性対策 、他のサプリとの組み合わせ全体像は ADHD集中力サプリ徹底比較|「ランキング」ではなく自分に合う1つの選び方・6種類のエビデンス強度を公開 や 「スマートドラッグ」は日本で合法?|成分別・4段階分類と合法な代替サプリまで法律ベースで整理 も参考になります。栄養全体から見直したい場合は ADHDと栄養の関係|「サプリで治る」ではなく「欠乏が症状を悪化させる」を研究から読み解く です。
試してみるならどの商品か
ブランド選定の基準をもう少し一般化しておきます。 上記3候補以外から選ぶ場合の参考にしてください。
- 1カプセルあたり500〜1000mg含有
用量調整がしやすい。極端に低用量のものは割高になりがち - 信頼できるブランド
Now Foods、Thorne、Jarrow、Doctor’s Best等。第三者機関の品質テストを通している - 添加物が少ない
チロシン+カプセル素材のみの製品が理想。着色料・香料が多いものは避ける
初めて試すなら、L-チロシンの500mg/カプセルの製品を選ぶのが無難です。Now FoodsのL-Tyrosineは価格・品質・入手性のバランスがよく、最初の1本として選びやすいです。NALTを試したい場合は、Thorneあたりが研究グレードに近い品質で安心できます。
iHerbの初回購入には紹介コード割引が使える場合があるので、公式サイトで確認してみてください。
安全性と注意点|甲状腺・薬の併用・妊娠授乳
チロシンは比較的安全性の高いアミノ酸ですが、以下に該当する人は自己判断で始めず、主治医に確認してください。
ここは記事の中で一番丁寧に読んでほしいセクションです。
必ず医師に確認すべき人
- 甲状腺疾患がある人(バセドウ病・橋本病・甲状腺機能亢進症など)
チロシンは甲状腺ホルモンの材料でもあり、ホルモンバランスに影響する可能性がある - 甲状腺ホルモン剤(レボチロキシン/チラーヂン等)を服用中の人
相互作用の可能性があるため、必ず主治医に確認 - MAOI(モノアミン酸化酵素阻害薬)を服用中の人
一部の抗うつ薬・パーキンソン病治療薬。チロシンとの併用で高血圧クリーゼを起こす可能性 - レボドパ(L-DOPA)を服用中の人
パーキンソン病治療薬。吸収で競合する - 高血圧の治療を受けている人
ノルアドレナリン系への影響の可能性。主治医に確認を - 妊娠中・授乳中の人
安全性データが不足しているため、自己判断での摂取は避ける - フェニルケトン尿症(PKU)の人
アミノ酸代謝の疾患。チロシン代謝に影響する可能性があるため要相談
該当する人は、受診時に「L-チロシンっていうサプリを試したいんだけど大丈夫ですか」と一言確認するだけで十分です。面倒に感じるかもしれませんが、ここはサボらない方がいいポイントです。
健康な成人でも起こりうる副作用
短期間の使用では比較的軽度ですが、以下のような報告があります。
- 消化器症状
胃部不快感・吐き気・下痢。空腹時の高用量で出やすい - 頭痛
初回摂取時や高用量で出ることがある - 動悸・血圧上昇
高用量で稀に。元々カフェイン等で動悸が出やすい人は注意
いずれかの症状が出た場合は、用量を減らすか中止してください。長期連用のデータは十分ではないので、「勝負所の日だけ使う」運用の方が安全性の観点でも理にかなっています。
この記事は医療上のアドバイスを提供するものではありません。具体的な判断は必ず医師に相談してください。詳しくは米国NIH MedlinePlusのL-Tyrosineの項目[4]も参照できます。
それでも頭が回らないときは
チロシンを「勝負所」で試して、それでも日常的に困りごとが大きい場合は、サプリで粘らずに次のステップに進んでほしいです。
「次のステップ」には段階があります。
- そもそも自分がADHDかどうか整理する
まず 「自分は発達障害かも」と思ったら最初にやること で自分の状況を言語化してみる - 栄養全体から見直す
チロシン以外の栄養素も関係する。ADHDと栄養の関係|「サプリで治る」ではなく「欠乏が症状を悪化させる」を研究から読み解く で全体像を整理 - 他のサプリスタックを検討する
チロシンと併用できる合法サプリは他にもある。「スマートドラッグ」は日本で合法?|成分別・4段階分類と合法な代替サプリまで法律ベースで整理 / ADHD集中力サプリ徹底比較|「ランキング」ではなく自分に合う1つの選び方・6種類のエビデンス強度を公開 - 医療機関を受診する
処方薬が必要な段階の人は、サプリの比較で時間を使わず受診する方が早い
チロシンは「自分でできる範囲」を広げる選択肢の一つですが、「医療の代わり」ではありません。この切り分けを自分の中で持っておくと、迷子にならずに済みます。
よくある質問
チロシンについて読者から寄せられる典型的な疑問をまとめました。
まとめ



チロシンって「コンサータの代わり」じゃなくて、「勝負所の補助」なんだね。



そう。徹夜明けの会議、プレゼン前、繁忙期のピーク。そういう場面で「いつも通り」をキープする。それ以上でもそれ以下でもない。



普段使いしようとして毎日飲んでたら、体感ゼロで財布だけ減る感じか。



うん、自分もそれで2週間無駄にした。研究通り、普段は効かない。勝負所で効く。シンプルにそれだけ。



処方薬が必要な段階の人は?



サプリで粘らないでほしい。チロシンは「自分でできる範囲」を広げる選択肢で、「医療の代わり」じゃない。必要な人は医療機関に行ったほうが結果的に早い。
栄養全体の話は ADHDと栄養の関係|「サプリで治る」ではなく「欠乏が症状を悪化させる」を研究から読み解く に整理しています。チロシン以外の選択肢も比較したい場合は ADHD集中力サプリ徹底比較|「ランキング」ではなく自分に合う1つの選び方・6種類のエビデンス強度を公開 、合法スマートドラッグ全般に関心があれば 「スマートドラッグ」は日本で合法?|成分別・4段階分類と合法な代替サプリまで法律ベースで整理 、カフェインと組み合わせたい場合は L-テアニン×カフェインの集中スタック|コーヒーでソワソワする大人の現実解と比率・耐性対策 も参考にしてみてください。そもそも自分がADHDかどうかから整理したい場合は 「自分は発達障害かも」と思ったら最初にやること から読み直すのが近道です。
参考文献
- Deijen et al. (1999) “Tyrosine improves cognitive performance and reduces blood pressure in cadets after one week of a combat training course” Brain Research Bulletin, 48(2), 203-209. — PubMed
- Jongkees et al. (2015) “Effect of tyrosine supplementation on clinical and healthy populations under stress or cognitive demands: A review” Journal of Psychiatric Research, 70, 50-57. — PubMed
- Colzato et al. (2013) “Working memory reloaded: Tyrosine repletes updating in the N-back task” Frontiers in Behavioral Neuroscience, 7, 200. — PubMed
- NIH MedlinePlus — L-Tyrosine — MedlinePlus
本記事の情報は公開時点のものです。サプリメントの安全性情報や研究知見は更新される場合があります。
本記事は医療上のアドバイスを提供するものではありません。チロシンはADHDの処方薬(コンサータ・ストラテラ等)の代替にはなりません。具体的な診断や治療、服薬中の方のサプリ併用については必ず医療機関にご相談ください。








