不登校の中3、進路はどうなるのか|出席日数が足りなくても選べる道を整理

不登校の中3、進路はどうなるのか|出席日数が足りなくても選べる道を整理

この記事のポイント

  • 中学生の不登校は216,266人。学年を問わず、およそ15人に1人という規模
  • 「出席日数が足りない=高校に行けない」は正確ではない。学力検査の比重が高い選抜や、不登校に配慮した選抜がある
  • 通信制高校は出席日数の影響が小さく、卒業資格は全日制と同じ
  • 教育支援センターや自宅でのICT学習が「出席扱い」になる制度がある。判断するのは在籍校の校長
  • 中3の秋以降は面談と出願が立て込む。情報集めだけは先に済ませておきたい
もーやん

中3の子が学校に行けなくなって、もう2ヶ月くらい経つ。三者面談で「出席日数がこのままだと厳しいです」って言われて、頭が真っ白になった。

かりぶー

そう言われると、進路が全部閉じたように聞こえるよね。

もーやん

うん。もう高校には行けないってことなのかなって。

かりぶー

そこは違うよ。「厳しい」と言われたのはたぶん近隣の全日制の一部の話で、進路そのものが閉じたわけじゃない。実際、選べる道はいくつも残ってる。

もーやん

でも内申点はもうどうにもならないでしょ。

かりぶー

内申が効かない選抜もあるし、そもそも出席日数をほとんど見ない学校もある。まずは全体像を並べたほうがいい。真っ白なまま考えると、実際より狭く見えるから。

この記事では、中3で学校に行けなくなったときの進路について、出席日数が実際どう効くのか、いま選べる道は何か、そして時期ごとに何をすればいいのかを整理します。

先に一つだけ。ここに書くのは判断材料であって、正解ではありません。選抜方法は都道府県によって大きく違うので、最終的な確認先は在籍校と各自治体の教育委員会です。

目次

まず、数字の話をしておきます

文部科学省の調査によると、2024年度(令和6年度)の不登校の児童生徒数は、小学校137,704人、中学校216,266人、合計353,970人でした。12年連続で増えています。

中学校だけを見ると、およそ15人に1人。1クラスに2人前後いる計算です。

この数字を出したのは、「みんなも同じだから気にするな」と言いたいからではありません。これだけの人数がいるということは、受け入れる側の制度もそれに合わせて作られている、という話をしたいからです。

実際、不登校を経験した生徒を前提にした入試の枠や学校が、この10年でかなり増えました。「うちの子だけが例外的に困っている」という前提で考えると、その制度が視界に入ってきません。

「出席日数が足りない=高校に行けない」は正確ではない

いちばん誤解が多いところなので、分けて整理します。

公立の全日制を一般の枠で受ける場合

ここは出席日数が効きます。調査書に欠席日数が記載され、内申点にも影響することがあります。「厳しい」と言われるのは主にこのルートです。

ただし、効き方は都道府県で相当違います。たとえば東京都の第一次募集では、学力検査と調査書の比率が原則7対3で、当日の得点の比重が高くなっています(これに英語スピーキングテストの点数が加わります)。内申が振るわなくても学力検査で取り返せる余地がある、ということです。

自分の住んでいる自治体がどういう配点なのかは、教育委員会の入試要項に記載されています。ここを見ないまま「内申が足りないから無理」と決めてしまうのは、いちばんもったいない。出席日数が実際どう扱われるかは 不登校の出席日数は高校受験にどう響くのか|「30日」の意味と、いまからできること で詳しく整理しています。

不登校に配慮した選抜がある

学力検査と調査書を使わない選抜を用意している自治体があります。東京都のチャレンジスクールが代表例で、志願申告書・面接・作文などを組み合わせて選抜します。過去の出席日数や成績ではなく、これからどう学びたいかを見る仕組みです。

名称は自治体ごとに違います。同種の枠があるかどうかは、教育委員会の入試要項で「不登校生徒等に係る選抜」といった項目を探すと見つかります。

通信制高校は、そもそも出席日数の影響が小さい

通信制高校の卒業要件は、レポート・スクーリング・テストで組み立てられています。中学校での出席日数が選考の中心になることは基本的にありません。実際、在校生のかなりの割合が不登校を経験しています。

そして重要なのは、通信制を卒業して得られる資格が、全日制とまったく同じ「高等学校卒業」だという点です。ここは誤解されがちですが、格下の資格になるということはありません。

選べる道の全体像

いま中3のテーブルに乗っている選択肢を並べます。

スクロールできます
進路登校の頻度出席日数の影響向いている状況
全日制(一般の枠)毎日大きい(調査書・内申)学力検査で取り返せる見込みがある
全日制(不登校に配慮した枠)毎日小さい(面接・作文中心)通学の意欲はあるが内申が振るわない
定時制夕方・夜間など小さい生活リズムに合う時間帯がある
チャレンジスクール等学校により選べるほぼ見ない学び直しから始めたい
通信制ゼロ〜週5まで選べる小さいペースの調整が要る。在宅から始めたい
高卒認定通学しない関係なし独学を自力で回せる

高卒認定だけ性質が違うので補足します。あれは「高卒資格」ではなく、大学等を受験するための資格です。進学すれば実質的にカバーされますが、高卒のまま就職するルートを取ると差が出る場面があります。18歳未満で高校に在籍しない期間ができる点も、事前に考えておきたいところです。

もう一つ、学びの多様化学校(かつての不登校特例校)という選択肢もあります。不登校の生徒向けに教育課程を組み替えた正規の学校です。ただし2025年度時点で全国58校(公立37・私立21)で、通える範囲にあるとは限りません。国は将来的に300校を目標にしていますが、いま中3の進路として当てにするには数が足りないのが実情です。

このうち通信制については、教室に通うのが難しい状況とどう噛み合うのかを 教室が合わなかった子にN高はアリか|発達グレーゾーンの特性別に相性を整理 で詳しく整理しています。

いまからでも間に合う「出席扱い」の制度

意外と知られていないのがこれです。学校に行けていない期間でも、一定の要件を満たせば在籍校の出席として扱われる制度があります。

対象になる主なものは次の2つです。

教育支援センター(適応指導教室)などへの通所。原則は自治体が設置する公的機関だが、通所が難しい場合はフリースクール等の民間施設も対象になり得る

自宅でのICTを使った学習

自宅学習を出席扱いにする場合は、要件がはっきり決まっています。訪問などによる対面指導が定期的かつ継続的に行われていること、本人の理解度に応じた計画的な学習プログラムであること、学校が学習状況を十分に把握していること。この3つが揃っている必要があります。

学習の評価についても、内容が学校の教育課程に照らして適切であれば成績をつけられます。判断材料になるのは、ICT教材の学習履歴、振り返りカード、テストの結果などです。

ただし、認めるかどうかを判断するのは在籍校の校長です(民間施設の場合は教育委員会と連携して判断します)。申請すれば通るとは限りません。裏を返せば、学校との関係を切らずに相談を続けることが、そのまま制度を使えるかどうかに効いてきます。

もし在籍校でこの話が出ていないなら、担任か教育委員会に「出席扱いの要件を確認したい」と切り出すところから始められます。

時期別に、いま何をするか

中3の1年は、後半になるほど動きにくくなります。

スクロールできます
時期やること
〜夏選択肢の洗い出し。資料請求と学校説明会。出席扱いの相談を始めるならこの時期
秋(9〜11月)学校見学と個別相談。志望の絞り込み。自治体の入試要項を確認
冬(12〜1月)出願。私立の推薦・単願の判断。通信制は出願時期が学校ごとに違うので個別確認
直前期本人の体調とリズムの調整を優先。無理に詰め込まない

いま夏の段階であれば、まだ余裕があります。逆に秋以降は、面談・出願・説明会が一斉に立て込むので、資料を集める作業は先に終わらせておくと、ずっと動きやすくなります。

とくに通信制はコースによって学費もサポート体制も大きく変わり、その内訳が公式サイトに載っていないことがあります。比較したい場合は、資料を取り寄せて紙で並べるのがいちばん早い方法です。

パンフレットと募集要項が無料で届く・コース別の学費は資料にしか載っていません

本人が動けないとき、親ができること

ここまで制度の話をしてきましたが、実際にいちばん難しいのは「本人が進路の話をしたがらない」状況だと思います。

いくつか、現実的にできることを挙げます。

決めさせようとしない。選択肢が存在することだけ伝えて、判断は先送りにしていい

資料を本人の目に入る場所に置いておく。読ませようとせず、置くだけにとどめる

「学校に行けるかどうか」と「進学できるかどうか」を切り離して話す。この2つは別問題

学校との連絡だけは切らない。出席扱いも、配慮のある選抜も、学校経由でしか動かない

もう一つ、これは意外と効きます。親が焦っている状態は本人に伝わります。 進路が閉じていないと親自身が納得できていると、家の中の緊張がかなり下がります。この記事の前半を読んでもらったのは、そのためでもあります。

背景に特性が関わっている場合

学校に行けなくなった理由が、人間関係や勉強のつまずきだけでは説明しにくいことがあります。

たとえば、教室の音や光がつらい。集団の中にいるだけで極端に消耗する。提出物を出す段取りがどうしても回らない。こういう感覚や特性の問題が背景にある場合、環境を変えないまま「戻る」ことを目標にすると、同じところでまた止まりやすくなります。教室の何が負担なのかは 感覚過敏で学校がつらい子|教室の何が負担なのかを分解して考える で分解しています。

当サイトは大人の発達グレーゾーンを扱っていますが、困りごとの中身は年代を問わずよく似ています。

なお、診断を受けるかどうかは進路選びとは別の話です。急いで結論を出す必要はありません。迷っている段階であれば グレーゾーンから診断受診へ|判断基準と選択肢 を参考にしてください。

よくある質問

出席日数は何日休むと不利になりますか?

一般に年間30日以上の欠席で不登校として扱われますが、それが直ちに不合格につながるわけではありません。影響の大きさは選抜方法によって変わり、学力検査の比重が高い自治体や、調査書を使わない枠では影響が小さくなります。自分の自治体の入試要項で配点を確認するのが確実です。

中3の秋からでも間に合いますか?

通信制や定時制であれば、出願時期の面では十分に間に合うことが多いです。ただし学校説明会や個別相談の枠は秋以降に埋まりやすいので、資料請求だけは早めに動いたほうが選択肢が減りません。

内申点がほとんどついていません。それでも受けられますか?

受けられます。調査書を評価に使わない選抜を用意している自治体があり、通信制高校は学力試験より面接と書類が中心です。まず「調査書を使わない選択肢がどれか」で絞り込むと、現実的な候補が見えてきます。

フリースクールに通っていますが、出席扱いになりますか?

なり得ます。原則は公的機関である教育支援センター等が対象ですが、通所が難しい事情がある場合は民間施設も対象になり得ます。判断するのは在籍校の校長で、民間施設については教育委員会と連携して判断されます。まず在籍校に相談してください。

本人が進路の話を嫌がります。どうすればいいですか?

決定を迫らずに、選択肢の存在だけを伝えるところで止めるのが現実的です。パンフレットを食卓に置いておく程度でも、「行き先がある」という情報は入ります。出願はまだ先なので、いま決める必要はありません。

まとめ

三者面談で「厳しい」と言われたとき、閉じているのは進路そのものではなく、たいていは「近隣の全日制を一般の枠で受けるルート」だけです。

出席日数の効き方は自治体と選抜方法で大きく変わります。調査書を使わない枠があり、定時制があり、通信制があり、出席扱いの制度もあります。中学生の不登校が15人に1人という規模である以上、受け入れる側の仕組みもそれなりに整ってきています。

いまやることは、決めることではありません。選択肢を一覧にして、家の中に紙で置くことです。それだけで、親子ともに視界がかなり変わります。

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出典

  1. 文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」(不登校児童生徒数)— https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1302902.htm
  2. 文部科学省「学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)について」(設置校数・COCOLOプラン)— https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1387008.htm
  3. リセマム「不登校の出席扱い・評価の条件を解説…文科省が保護者向けリーフレット公開」(出席扱い・学習評価の要件)— https://resemom.jp/article/2026/04/10/85750.html
  4. 東京都教育委員会「令和8年度東京都立高等学校入学者選抜実施要綱・同細目」(第一次募集の学力検査と調査書の比率、チャレンジスクールの選抜方法。配点の詳細は同要綱の原本を参照)— https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/admission/high_school/exam/release20250925_r8yoko

本記事の情報は公開時点のものです。入試制度・選抜方法・支援制度は自治体および年度によって異なり、変更される場合があります。最終的な確認は在籍校および各自治体の教育委員会へお願いします。
本記事は個別の進路選択を推奨するものではありません。最終的な判断はご家庭と学校へのご相談のうえで行ってください。

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この記事を書いた人

「なんかしんどい」の正体に、対処法をお示ししていくメディアです。

運営者はグレーゾーン当事者(通院歴あり・WAIS等で凸凹判定)。
大手企業で働きながら、自分自身の「得意と苦手の凸凹」と折り合いをつける方法を模索してきました。

このサイトでは、当事者としてのリアルな体験と、論文・臨床知見など学術的根拠に基づく構造的な整理を掛け合わせ、「高機能グレーゾーンの大人」が使える実用情報をまとめています。

記事の内容は臨床心理士・公認心理師の有資格者の確認を経て公開しています。しかし、私たちは医療の専門家ではありません。診断や治療の代替となるものではないことをご承知おきください。

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